用意するもの(ホームセンターやスーパーで売られています)
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飼育ケース(虫かご・水槽等)
蓋のしっかり閉まるもの。 大きいケースの方が逃げ出し難く虫にとっては快適です。 外国産の
クワガタの場合、逃げ出したら大変です。
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昆虫マット
マットとは要するに
おがくず(朽木や生木を粉砕したもの)です。 明るい時に潜って隠れたり卵を
産んだりする為のもので、広葉樹の朽木を粉砕したものが良いです。 基本的に針葉樹は
×です。
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登り木・餌皿・樹皮・小枝・木の葉
転倒したときに起き上がる為に適当に入れておきましょう。
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え さ
日持ちの良いリンゴや昆虫用ゼリーが良いでしょう。
飼育ケースへセット
必要なものがそろったら、カブトムシやクワガタが住みやすい環境になるようにセットします。
1.マットを入れる
飼育ケースへマットを入れて、水で加水しよく掻き混ぜます。 水分量はマット量の5〜10%ほどが適当です。 加水しすぎると
マットが腐ってしまう場合もあります。 マットは手で押し固めます。 マット量はケースの高さの半分もあれば良いと思います。
2.登り木や餌皿を入れる
登り木や餌皿・樹皮などを入れます。 登り木等は、半分埋めたりそのまま置いたりなどどこで転倒しても起き上がれるように均等に
配置してください。
3.最 後 に
蓋との間に新聞紙又はクッキングペーパーなどを挟んで完了です。 蓋との間に新聞紙等を挟む事でハエなどの昆虫の侵入を
防ぎます。 乾燥防止に針で穴を空けたビニールを挟むのも良いです(蒸れに注意)。
繁殖させる
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繁殖させる場合の注意、他
・増やし過ぎに注意
・野外採集した場合は、♀のみでも産卵する可能性が十分あります。 ♂が採集できなかったと嘆く必要はありません。
・採集された場所が異常に遠い個体のペアリングは避けましょう。 それぞれが違う県で採集されたような個体です。
理想は、同じ樹液に来ていた個体同士のペアリングです。 最低でも同市区町村内で採集された個体でペアリングしましょう。
・産卵しないからと個体のせいにしない。 まずは自分がセットした内容を見直しましょう!
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産卵について
産卵には次の2つのタイプがあります。
1.産卵木にしか産まないタイプ(オオクワガタ、コクワガタなど)
重要なのは産卵木です。 国産クワガタの場合、マットは未発酵マットでも発酵マットでもどちらでも構いません。
産卵木の準備については、
進め!産卵木道!を参照して下さい。
■ 産卵木のセット方法
(1)マットを加水します(通常の加水で十分)。
(2)ケースの底にマットを1cm〜2cmほど詰めます。
(3)産卵木をマットの上に置き周りをマットで埋めていきます。
※カビが生え難いように(生えてもわからないように)半分以上又は完全にマットへ埋めてしまいましょう。
カビは生えるものと思ってください。 特に気にする必要はありません。
2.産卵木とマットの両方に産むタイプ(ヒラタクワガタ、ノコギリクワガタ、ミヤマクワガタ、スジクワガタなど)
■ 産卵させる為の条件
(1)ケースはできる限り大きい物を使用する。
(2)マットの乾燥に気をつける。 乾燥気味なマットでは産卵しないことが多いです。気持ち多めなくらいが良いです。
(3)マットは硬めに詰める。
(4)マットは粒子の細かい物を使用する。
(5)マットに産卵するか不安な場合は、産卵木も入れておくと良いです。
※ 慣れてくると、採れ過ぎ防止や割り出しの手間が省けるので産卵木は不要です。
セットへ成虫を投入、その後
交尾が確認できたら♂は取り出しましょう。 確認できない場合でも1週間ペアで入れていれば交尾は終わっているものと判断しても
大丈夫です。 ♂が♀を攻撃している様子がなければ一緒でも構いません。
産卵木をセットした場合は、♀が産卵木を齧り始めます。 確認されてから2週間〜1ヶ月以内に産卵木を取り出すか親虫を取り
出しましょう。 取り出した産卵木は加水したマットに埋めて1ヶ月保管して下さい。 1ヶ月もすれば卵は孵化しているでしょう。
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産卵木の割り出し
マットのみの場合は、産卵が始まるとケースの底に産み付けられているのが確認できます。 最初に確認できた卵が孵化したら
一度産卵数を確認します。 目標通りの数が採れたなら親虫は別ケースに移動させて休憩させてください(高蛋白なゼリーを与える
と良いです)。 足りない時は再びセットして下さい。
その後(メンテナンス)
2・3日おきに餌やマットの乾燥状況を調べます。 表面が乾燥してるならば霧吹きなどでマットの表面を加水しましょう。
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もしダニがマットにいる時は
1.無視する
ダニがいるからといってクワガタが死ぬようなことはありません。 ただし、マットにダニが大量にいる場合は良い環境とは言え
ません。 マットを交換する必要があります。
2.新しいマットに取り替える
取り替えたマットは天日干ししてもう一度使用できます。 天日干しする場合は、水分が完全になくなるまで行ってください。
その他では、電子レンジで加熱してダニを駆除する方法もあります。 この場合は、マットに若干の水分が必要です。
※ マット交換にあわせて、クワガタについているダニの除去も行います。
3.ケースは熱湯洗浄
ダニがケースについている可能性は十分にあります。 マット交換にあわせて綺麗なケースを用意し、今まで使っていた
ケースは、ケースに熱湯を満たした状態でしばらく放置し、ダニを殺します。 ガス給湯の熱いお湯でOKです。
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クワガタにダニが付いていたら
1.無視する
マット同様、ダニが付いていても問題ありません。 大量発生の場合は、マット交換。 そして”2.”の方法でクワガタ自体からも
ダニを除去して下さい。
2.クワガタから除去する
(1)マットとダニを区別する為にクワガタをささっと水洗いします。
(2)大きいクワガタの場合は歯ブラシで軽くダニを落とします。
(3)爪楊枝(つまようじ)の先に両面テープを巻き、水洗いや歯ブラシで落ちなかった分のダニを取ります。
(4)濡れたティッシュを敷いたミニケースへ移動(ミニケースには餌を入れておくと良いでしょう)。
(5)ダニが羽の裏などに隠れている可能性がある為、数時間後もう一度チェックします。
(6)ダニがいなくなるまで繰り返します。
注)この作業は、クワガタに
ストレスを与える作業になります。 神経質にならずある程度妥協することも大事ではと思います。
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産卵木にカビが
1.無視する ダニ同様、クワガタには影響ないようです。
2.マットに埋めてしまう
マットに埋めることで空気に触れる部分を減らしカビの発生を防ぎます。
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越 冬 準 備
越冬できるクワガタは、屋内飼育だと11月頃から動きが鈍くなってきます。 そのくらいの時期に越冬の準備を行います。
1.マットの加水をしっかり行う。
2.マットを気持ち硬めに詰める。 フカフカだと乾燥しやすい為です。
3.蓋とケースの間に詰めていた新聞紙等をビニール(千枚通し等で適当に穴をあけておく)に変更する。
※ 加水した産卵木を埋め込んでおくのも良いです。 もしかしたら春にはそのまま産卵してくれるかも^^
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越冬の注意点
冬の飼育の注意点は、マットの乾燥と飼育温度です。
・飼育温度 ・・・ 屋内ならば特に問題ないでしょう。 ただし、0℃以下が続くような環境はよくありません。
・保湿管理 ・・・ これが一番重要です。 霧吹きしてマットが水を弾くようなら要注意です。
卵〜成虫の過程を表すと
卵 → 1齢幼虫 → 2齢幼虫 → 3齢幼虫 → 前蛹 → 蛹 → 成虫(羽化)
卵 |
2週間〜1ヶ月で卵から幼虫が出てきます(孵化) |
1齢幼虫
2齢幼虫 3齢幼虫 |
この期間は気温等の環境や虫の種類によって大きく変化します。 蛹までに1年以上かかるものもあれば2ヶ月
未満で蛹化してしまうものもいます。 |
前 蛹
蛹
成虫(羽化) |
体内の糞を出し切り、蛹になる為の部屋(蛹室)をつくります。 1週間〜3週間程で蛹になります。
2週間〜1ヶ月ほどで成虫になります(羽化)。 蛹の時の気温や蛹の大きさによって蛹の期間は変化します。 羽化した成虫は、蛹室で1ヶ月ほど体を乾かし蛹室を崩して出てきます。 |
飼育の基本は、1齢〜2齢幼虫で回収ですが「マットから卵が出てきた」という場合の為に・・・
● 方法1.マットで孵化
一番無難な孵化方法です。 加水したマットを下層(1cm程)に敷き卵をその上にばら
撒きます(均等に)。 その上から加水したマットを降りかけます。 降りかける量は多ければ
多いほど乾燥し難いので良いです。 夏なら2週間ほどで孵化します。
秋の場合は、1ヶ月程かかることもあるのでじっくり孵化を待ちましょう。
注)マットを降りかけた後の加水は避けましょう。
● 方法2.濡れティッシュで孵化
これはあまりお勧めしませんが、一応孵化します。 この方法の良い点は孵化を観察・確認できることです。
この時期の成長具合で成虫の大きさは決まります。 初齢まで発酵マットでまとめ飼いで、2齢で♂♀を判断して飼育方法を決定と
いうのが一番経済的な飼育ではないかと思います。 ※ マットは必ず幼虫飼育向けであるのを確認して買いましょう。
● 1齢幼虫
孵化した幼虫は真っ白です。 時間の経過と共に頭はオレンジ色へと変化します。
死んでしまう確立が最も高いのがこの時期です。
飼育の選択肢としては3つあります
1.無難に未発酵マットで飼育 2.発酵マットで飼育 3.菌糸瓶で飼育
菌糸瓶へは幼虫が餌を食べだしたのを確認(お腹がマットを食べて黒くなっている)して
から投入。
● 2齢幼虫
この時期が成虫の大きさを決めると言っても過言ではありません。
幼虫は、脱皮する度に頭が大きくなり、その頭にあった体に成長していきます。
もとを辿れば卵の大きさや初齢の太り具合になってしまいますが、割り出した時によく
見かける2齢こそ重要と当研究所ではしています。
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飼育方法の選択肢は4つあります
1.未発酵マットで飼育 2.発酵マットで飼育 3.朽木で飼育(材飼育) 4.菌糸で飼育
● 3齢幼虫〜前蛹
幼虫として最後の時期です。 飼育方法は2齢で取った方法を継続するのが無難です。
可能な限り刺激を与えないようにしましょう。
前蛹とは、蛹化への準備期間です。 体内の糞を出し切りその糞で周りにツルツルの硬い壁の
蛹室を作ります。 この時期は
絶対安静です。 刺激を与えすぎたり、触ったりすると蛹になる
こともできずに死んだり蛹になる途中で死んでしまったりする可能性があります。
そっとしておきましょう。
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材飼育の方法について簡単ですが説明しておきます
1.産卵木の要領で朽木(飼育材)を加水します。
注)樹皮は剥がないように。
2.飼育材に幼虫がスッポリ入るくらいの穴をあけます。
3.幼虫を穴に入れます。 幼虫にマットを被せます。
4.飼育材がスッポリ入るケースを用意してマットで材の回りを埋めます。 マットで材の周辺を埋めるのは材の保湿の為です。
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マットの交換
交換の目安は、瓶に幼虫を投入して、3ヶ月です。 ただし、夏は劣化が進みやすいので2ヶ月です。
あくまで目安なので、実際に瓶のマットの状況を観察しながら、判断してください。
交換する場合は、まず、幼虫の状況を確認します。 前蛹になっていないか? 脱皮中では?
中の様子がわからない場合は、慎重にマットの取り出しを行ってください。 不用意に瓶をひっくり返したり、叩いたりしないように!
冬は、飼育場所が10℃をきるような場合は、冬眠している恐れがあります。 この場合も慎重に行いましょう。
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幼虫の冬場の管理
クワガタの幼虫は寒さに強く、自然下では、糞を出し切ってお腹を不凍液で満たして冬眠します。 冬に朽木を割るとお腹が透明な
(赤っぽい)幼虫が出来てくるのはこの不凍液が入っているからです。 こう言う理由からクワガタの幼虫に保温は不要となります。
ただし、冬に冬眠させてしまうと冬の間の成長が止まります。 なので、屋内で冬眠しない程度に寒い場所(15℃前後)に置いて
じっくりと育てていくのが良いと思います。
前蛹同様、できる限りそっとしておきましょう。 蛹の期間は、2週間〜2ヶ月です。
個体の大きさや気温などにより期間は変化します。 冬以外なら平均1ヶ月前後で羽化します。
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蛹化したら
まず、蛹の様子を定期的に観察しておきましょう。 蛹が回転して仰向けやうつ伏せになって
いる場合は問題ありませんが全く回転していない場合は要注意です。 特に瓶底に蛹室を
作った使った場合は上手く回転が出来ない場合があるので瓶を逆さにしたり、人工蛹室に
移動したりするなどの対策が必要です。
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人工蛹室について
色々な事情から蛹室が壊れたり、壊してしまった場合の最終手段です。 人工蛹室の絶対条件は、蛹が仰向け、うつ伏せになれるか
と言う所にあります。 そんな人工蛹室を作る為のヒントは、羽化したクワガタの蛹室にあります。 これが最高のお手本です。
成虫が羽化したら、蛹室の形をよーく観察してみましょう! 材飼育するとさらに蛹室と言うものがよくわかります(羽化後)。
蛹化から2週間〜2ヶ月で蛹は成虫になります。 羽化した成虫は蛹室で仰向けになったりして体を乾かし1ヶ月ほどで蛹室から出て
きます。 自分で出てくるまでじっくり待ちましょう。
注1)ノコギリクワガタの場合、羽化した年は蛹室から出てきません。 蛹室で越冬して活動を開始するのは翌年の初夏からです。
むやみに蛹室から掘り出すと冬を越えられずに死んでしまうこともあります。 もし、越冬することなく動き出した場合は、普通
に飼育してください。
注2)ノコギリクワ以外でも秋に羽化したものはそのまま蛹室で越冬する場合があります。 自分から蛹室を壊して出てくるまで待ち
ましょう。