マット飼育って・・・
マット飼育のメリットは、なんと言っても、温度管理が楽な点です。 自分で発酵させてオリジナルの発酵マットも簡単に作れたり
します。 菌糸瓶で手軽に大きくするのも楽しいのですが、安価にそして、突き詰めていくと奥の深いマット飼育について考えて
いこうと思います。 進めマット飼育道!!
産 卵 さ せ る
マットの選定と準備
ヒタラ・
ノコギリ・
ミヤマクワガタは、マットと産卵木の両方へ産卵します。 それなら、産卵木から幼虫を割り出すの面倒だぁ!って
ことで、やっちー研究所ではマットへ産卵する種に産卵木は基本的に使用しません。 産卵木を入れないので産卵はマット次第と言う
ことになります。 使用するマットはある程度目の細かいものが良いと思います。 できれば発酵マットが無難です。
一番使用しているのが写真にあるマルカンのくぬぎジャンボ昆虫マットです。
このマットを発酵させて使用します。
幾つかのマットを使用してみて簡単に入手ができて安心なマットをいくつか見つけておきましょう。
マットを詰める
1.加 水
まずは、マットを詰める前にマットを加水します。 マットは加水しすぎると劣化が早いので加水し過ぎないように。 マットを指で強く
つまんだ時に水がなんとか滲み出る程度です。 軽くつまんだ程度で滲み出るようなら加水し過ぎです。
2.詰 め る
マットは堅めに詰める方が産卵する事が多いようです。 ヒラタ・ノコギリクワガタの場合、発酵マットを堅く詰めただけでも産卵可能です。
■ 黒土について
底に2〜3cmの黒土を詰めた上に発酵マットを詰めるとよく産むことがあるようです。 特にミヤマクワガタは、黒土を使用するのが
確実です。 黒土はホームセンターなどの園芸コーナーで売られています。 黒土が手に入らない場合は腐葉土をミキサーで粉砕して
使用すると良いようです(実はこちらの方が黒土よりも良い結果が出てると言う話もあります)。
メンテナンス
マットの乾燥に気を付けます。 定期的に霧吹き等でマット表面を加水します。 定期的に表面を加水しておけば表面だけの
加水で十分保たれます。
以上のやり方でヒラタ・ノコギリなら1ペアで10数個の卵を採る事が可能です。 ただし地域によっては、マットよりも産卵木に産卵する
場合があるかもしれません。 不安な方は、どっちに転んでも大丈夫なように柔らか目の産卵木をマットに埋め込むと良いと思います。
さらに♂1×♀2 でケースに入れておけば、より確実に産卵させられます。
マットの紹介
今まで使用したことのあるマットの紹介です。 品名が若干変わったりしてるかも?
- マルカン -
- クヌギジャンボ昆虫マット(4.5L、10L) 粗めの未発酵マット 発酵マットのベースによく使ってます。
- オオクワバイオマット(4.5L) 高発酵という割に白いマットです。 粒子は細かいのでノコの産卵床に使えます。
- ハイパークヌギフレーク(5.0L) オオクワバイオマットと同じです??? 違いは不明
- 若葉 産卵用マットです。 幼虫飼育には使用できないので要注意!!
- ハイパーマット(5.0L) カブトムシ専用マット ミヤマの産卵床としても使えます。
- ファーム'S -
- スーパーミックス(3L、5L) オオクワバイオに比べると茶色いマットですが、気持ち粗めです。 オオクワにそのまま使用
しましたが大きくなりませんでした。 産卵床として使うことが多いです。
- フジコン -
- やまざと昆虫マット(2L、4.8L) 粗めのマット。 細かい木片が手に刺さって痛かったので、それ以降使用してません。
- バイオフレークマット(4.8L) 未発酵マット クヌギジャンボより粒子は細かく整っています。 可もなく不可もなくな感じ
産卵木がなくても産卵させられるクワガタ一覧
ヒラタクワガタ(本土) スジブトヒラタ ノコギリクワガタ(本土) ネブトクワガタ ミヤマクワガタ
メタリフェルホソアカクワガタ パプアキンイロクワガタ ダイオウヒラタクワガタ
発酵マットについて
発酵についての考察・・・ あくまで個人的な見解なので間違っているかも?
■ 発酵させる目的
添加物である小麦粉等に含まれるたんぱく質は微生物によって分解されアミノ酸になります。 たんぱく質は、アミノ酸の結合に
よってできています。 このアミノ酸を摂取する事により幼虫は大きくなるのだろうと考えています。
※ もともとの発酵させる理由は、未発酵マットが飼育中に発酵して熱で幼虫が死亡という事故を防ぐ為だったようです。
未発酵マットが添加剤なしで発酵した経験はないので、どうも信じられない話なのですが・・・
■ なぜに味の素?
味の素の主成分(90%以上)のグルタミン酸もアミノ酸の1種であり、すでに発酵・分解された状態にあるようなものです。 よって
味の素は、発酵させるのではなく未発酵マットに水に溶かして添加するだけで良いものと思われます。 一番手軽な添加剤と言え
ます。 発酵後にさらに添加でも良いかもしれません。 添加する場合は、マット量の1%程で良いようです。
注) 稀に味の素によって発酵が起こることがあるようです。 謎ですが、マットへ味の素を添加した場合は、念のため2・3日程度
様子をみてから使用するようにしましょう。
発酵マットの作成
簡単ですが、作成法を載せておきます。
- 用意するもの -
- 未発酵マット(10L以上あった方が良いです。 マット量が多いほど発酵させやすい)
- 添加物(マットの5〜10%ほど)
- 水(マットの5〜10%ほど)
- 容器(マット量に合わせた物。 大きい方が混ぜやすく良いです。
- 作成手順 -
作成手順1.
未発酵マットに添加物を混ぜます。 乾燥している方が混ぜやすいからです。 発酵前の温度を測っておきましょう。
作成手順2.
お湯で加水します。 お風呂の温度くらい(42℃前後)で十分です。
作成手順3.
発酵が始まるとマットの温度が上がります。 発酵中は、マットが固まるので、これが発酵しているか、していないかの
目安になると思います。
均等に発酵させるために5・6日おきにマットをよくかき混ぜます。 温度が下がったら出来上がりです。
夏なら1ヶ月ほどで出来上がります。
添加物にこだわる
- フスマ
大麦の皮を乾燥させ粉にしたものです。 たんぱく質と繊維質が豊富です。
家畜用の飼料としてJAで安くで手に入ります。 1,000円/20Lほど
- 小麦粉
主成分は、炭水化物です。 たんぱく質の含有量で、強力>中力>薄力粉と分かれます。
- きな粉
原材料は、大豆であるため、良質なたんぱく質を多く含んでいます。 しかし、脂質も多く含んでいるようです。
小麦粉の補助として良いんじゃないかと思います。
- そば粉
主成分は炭水化物です。 たんぱく質は、12%前後。 ポリフェノールのルチンを含んでいます。 使用経験なし。
- プロテイン
植物性なら良さそうです。 使用経験なし。
水にこだわる
人間の体の半分以上は水であるように、クワガタの幼虫も水分を多く含んでいます。 それならば、水にこだわるべきなのでは?
- 水 道 水
一度沸騰させてから、又は1日以上溜め置きしてからから使います。
- ミネラルウォーター
買ってきたものや山水を使用。 やち研では、山水を使用しています。
- アルカリイオン水
大分県の日田天領水と同等の効果のあるアルカリイオン水です。 マックスバリュー等で無料で手に入ります。
- 電子イオン水
マイナスイオンを付加した水です。 phは6.7(近くのスーパーでは)の超弱酸性なのだが効果は、アルカリイオン水と似ている
- 添 加 物
最近では、アミノ酸が配合された飲み物が多いので、そういうものを水に混ぜて見る。 5%以下くらいで混ぜて見よう。
確実な発酵を促す為に
■ 添加剤は、よく掻き混ぜる
マットの加湿前によく混ぜ合わせます。 乾燥した状態の方が混ぜ易いです。 さらにマットに添加する時は、ふるいにかけながら
すると小麦粉等は塊ができ難いです。
■ 密封しない
発酵には酸素が必要です。 密封すると正常に発酵されないこともあります。
■ 発酵させるマットの量は、できる限り多目に
発酵させるマット量が多いほど発酵しやすくなります。 さらに粒子は大きいものが混じっていた方がマット中に隙間ができ易いせい
か発酵しやすいです(発酵には酸素が必要です)。
■ 加水に使う水は暖めてから
発酵の最中の温度が40℃前後であることからお風呂と同じくらいの温度に温めてから使うと良いです。
■ 加水する水は、マット量の10%以下が望ましい
袋から出したマットは若干ながら水分を含んでいます。 その水分でも微発酵するので、加水量の多いのは問題ですが少ないのは
それほど問題ではありません。 どうしても腐ってしまうという方は水分量を前回よりも減らしてみて下さい。
■ ドライイーストを添加してみる
イースト菌が最も活発に活動するのは30℃前後です(60℃を超えると死滅します)。 初期段階の確実な発酵にはお勧めです。
■ 冬場は、温度を維持するために
ケース表面を電気カーペット用の保温シートで覆ったり、天気の良い日は、車の中に置いたりすると良いと思います。 後、ファン
ヒーターの温風が当る所に置いておく等あります。 しかし冬場の発酵は難しいので初夏から初秋に作成することをお勧めします。