水生生物研究室 − 水合わせ − ブログ
水生生物のための水の作り方(水槽の立ち上げ)を紹介します。
水を作る(水槽を立ち上げる)とは、生物ろ過される状態を確立することです。 簡単に言うと、安定した水を作ることです。
水が安定したことを水槽が立ち上がったと言います。 水槽に水を入れた=立ち上げたではありません。 それはまだ立ち上がってません。 立ち上げはじめたですね。

 生物ろ過は、魚等のフンから発生するアンモニアをバクテリアによって害の小さい形まで分解することです。

 大体のイメージは、左の図の通りです。

 水量に見合ったバクテリアをフィルター内のろ材に定着さるのが水つくりになるわけです。
 
 ということで、その手順を紹介します。









 
必要なもの
水槽  当然必要です。
  カルキ(塩素)を抜いた水。 塩素は、バクテリアの天敵です。
フィルター  バクテリアの繁殖場所として、そして、水槽内の水を循環させるために。
  水槽のサイズ(水量)に見合ったフィルターを使ってください。
  おすすめは、静かでろ過能力の高い、図にもある外部式フィルターです。 EHEIM(エーハイム)のクラシックフィルターが特におすすめです。
  ろ材容量の大きなフィルターを使うことをお勧めします。
照明
 水作りのためには、照明があった方が良いです。
ヒーター&サーモスタット  飼育予定の生き物やヒーターを使用して飼育するなどを考慮して、設置する・しないを考えましょう。
 常温飼育予定であれば、なくても良いと思います。 熱帯魚なら、23度前後を目安に設定すると良いと思います。
手 順
水つくりには、1ヶ月以上の期間が必要です。 根気強くやっていきましょう。
1.セットする
 水槽内にソイルや砂利等を入れ、水を注ぎます。 ソイルの入っていた袋をソイルの上に敷いて、その上から水をそそぐと水が濁り難いです。 袋意外だと、鉢用の受け皿も良いです。
 水草は、茶ゴケで汚れてしまうので、立ち上がった後からでも良いと思います。 
2.フィルター設置
 フィルターを設置します。 フィルターの吸い込み口には、ストレーナカバーを付けるのが良いです。
 ストレーナカバーは、吸い込み口用のスポンジカバーで、普通に売っていると思います。

 ストレーナカバーがあると、物理ろ過にもなるので、フィルター内に余計なものが吸い込まれない様にし、フィルター内の掃除のサイクルを伸ばすことができます。
 スポンジにバクテリアが繁殖するので、生物ろ過にもなります。
 更に、稚エビ等の吸い込まれ防止にもなります。 外部式の場合は、吸い込まれても中で生きていることがよくありますけど・・・
3.パイロットフィッシュを投入
 これは、バクテリアの餌となるフンをしてもらうための生き物です。
 安価な魚が良いだろうと思います。 例えば、ヒメダカ、アカヒレ、ネオンテトラなどなど。 ただし、冬に常温で立ち上げようとしているのなら熱帯魚をパイロットフィッシュに選ばないようにしましょう。
 パイロットフィッシュの投入時には、当然ですが、ちゃんと水合わせしてください。
 水槽が立ち上がったからと、ぽいっと捨てられるものではないので、立ち上げ後も飼っても良いものにしましょう。

 投入数ですが、実水量を8で割ったくらいのが丁度良いかなと思います(小数点以下四捨五入)  例) 水を30L入れたならば、 30/8 = 3.75 = 4匹

 ちなみにアマゾニア等の栄養系ソイルを使用している場合は、ソイル自身からアンモニアが発生するので、パイロットフィッシュは不要です。
4.パイロットフィッシュ投入後
 週1回の水替えを行います。
 水の白濁がある場合は、パイロットフィッシュの数が微妙に多いのかもしれません。 毎日3分の1ほど水替えして、様子を見ます。
5.茶ゴケ発生
 水つくりから2週間前後で、茶ゴケ(珪藻)が発生することがよくあります。 茶ゴケは、硝酸塩を養分とするので、ろ過が上手くいっている証拠です。
 通常は、いつの間にか発生しなくなります。 茶ゴケ発生から1週間過ぎても発生が止まらない場合は、週2回の水替えに切り替えて様子を見ます。

 照明を設置していますか?
 水の立ち上げが完了した頃にどこからか発生するミジンコですが、このミジンコは、動物性プランクトンと呼ばれるものです。
 動物性プランクトンの餌は、植物性プランクトンです。 この植物性プランクトンと茶ゴケは、共に必要とする養分が硝酸塩です。
 植物性プランクトンが増加すれば、発生しなくなります。 植物性プランクトンの増加を促すために照明の設置が必要かもしれません。
6.立ち上げ完了
 完了の目安は、緑のコケです。 茶ゴケが生えなくなり、緑のコケが生え始めたら安定したと思って良いと思います。

 あと、既に紹介した通り、どこからともなくミジンコが湧いてきます。 ミジンコを見つけた場合も完了したと思って良いと思います。
 魚をパイロットフィッシュに使っている場合、ミジンコは食われてしまうので、発見するのは難しいでしょうけど。
 水替えをしたときに排水した水を別容器に貯めて、捨てる時によーく見てみると、ミジンコがいるかもしれませんよ。
最後に
安定したと言っても、安定したばかりです。 ここに魚をどっと入れると、この安定が崩れます。 数は段階的に増やすようにして下さい。
水替えも週1回を継続しましょう。
水替えについて
 水替えにはプロホースが良いです。 大きな水槽には向きませんが、600スリム未満の水槽ならこのプロホースが良いと思います。
 フンの堆積する底床を中心に水替えを行います。

 砂利の場合は、プロホースで砂利に突き刺して底掃除するのが良いです。 ソイルの場合は、表面に置いて、やさしく吸い上げます。
 ホースを絞るものが付属しているので、それで絞って、吸い込みの強さを調節すると使いやすくなります。
 底掃除で減った分の水を足すことで、底掃除=水替えになります。
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