延岡市内の河川で見られる淡水エビを紹介します。
延岡市内で採集できた淡水エビは、ヌマエビ科5種、テナガエビ科4種です。 沖田川以外は河口付近で五ヶ瀬川と合流している割に川ごとにいるエビ、いないエビがいます。 不思議ですね・・・
以下、その一覧です(採集できるかもしれないエビも含む)。
  
    
      | テナガエビ科 | 
      肉食性が強い雑食 (生体を積極的に捕食しようとする) | 
    
    
      | テナガエビ | 
      テナガエビ属 | 
       | 
      両方 | 
       | 
       | 
      生息確認済み | 
    
    
      | ミナミテナガエビ | 
      テナガエビ属 | 
       | 
      両側回遊型 | 
       | 
       | 
      生息確認済み | 
    
    
      | ヒラテテナガエビ | 
      テナガエビ属 | 
       | 
      両側回遊型 | 
       | 
       | 
      生息確認済み | 
    
    
      | スジエビ | 
      スジエビ属 | 
      〜 50mm前後 | 
      両方 | 
       | 
       | 
      生息確認済み | 
    
  
	
		| ヌマエビ科 | 草食性が強い雑食 (生体を積極的に捕食することは稀) | 
		| ヌマエビ | ヌマエビ属 | 〜 40mm前後 | 両側回遊型 | 小卵型 | 眼上棘・外肢あり | 生息確認済み | 
		| ヒメヌマエビ | ヒメヌマエビ属 | 15〜25mm | 両側回遊型 | 小卵型 | 眼上棘・外肢なし | 生息確認済み | 
		| ヤマトヌマエビ | ヒメヌマエビ属 | 30〜40mm | 両側回遊型 | 小卵型 | 眼上棘・外肢なし | 生息確認済み | 
		| ミゾレヌマエビ | ヒメヌマエビ属 | 25〜35mm | 両側回遊型 | 小卵型 | 眼上棘・外肢なし | 生息確認済み | 
		| トゲナシヌマエビ | ヒメヌマエビ属 | 25〜35mm | 両側回遊型 | 小卵型 | 眼上棘・外肢なし | 未確認 | 
		| ツノナガヌマエビ | ヒメヌマエビ属 | 20〜30mm | ? | ? | 眼上棘・外肢なし | 未確認 | 
		| ミナミヌマエビ | カワリヌマエビ属 | 20〜30mm | 残留型 | 大卵型 | 眼上棘・外肢なし | 生息確認済み | 
	
両側回遊型ばかりですTT
唯一、ミナミヌマエビだけが淡水繁殖可能です。 甲殻類にまで範囲を広げても、他はサワガニくらいかも・・・
両側回遊型 : 淡水域でふ化した幼生(ゾエア:エビっぽいミジンコみたいな感じ)は、川の流れに乗り汽水域へ移動し、エビの形になるまで汽水域で暮らし、後に親エビと同じ淡水域に戻ってきます。
汽水域で成長するため、ふ化後しばらく海水が必要であるため、繁殖は難しい。 淡水のままでは2・3日で死んでしまいます。
では、個別に紹介します(下記内容は、採集経験によるもので、地域により生息域は変わるかもしれません)。
テナガエビ科

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テナガエビ −
  満干の影響を受ける汽水域、中流域の下流よりで見かけます。
  ”m”のような模様は、成長とともに薄くなっていきます。
  テナガエビの仲間は、肉食性が強いので、単独で飼育するのが無難です。 
  繁殖は、ふ化した幼生の成長に海水が必要であるため、かなり難しいです。
  繁殖は考えずに見栄えの良いオスを単独飼いするのが良いと思います。
  市販のエビの餌などの人口飼料で飼育が可能です。
  基本は両側回遊ですが、地域によっては残留型も存在するようです。
 

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ミナミテナガエビ −
  中流域で見かけます。
  テナガエビと非常に似ています。
  見分け方は、拡大写真にある”m”に似た模様です。
  写真の透明容器は、観察用の自作アクリル水槽です。 メモリは、1cmです。
 

 − 
ヒラテテナガエビ − テナガエビ亜科テナガエビ属
  潮の影響を受けない淡水域で見かけます。
  下流よりでは、テナガエビと混在し、さらに上に登るとミナミテナガと混在する場合も
  あります。
  石が水面から出ているほど浅く、流れのある場所の石の隙間にいることが多いです。
  なので、そういう場所を見つければ、子供でも採集可能。
  
 
スジエビ

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スジエビ −  テナガエビ亜科スジエビ属
  小さなテナガエビの仲間です。
  手はヌマエビよりも明らかに長いが、テナガエビ属のテナガエビと比べると
  明らかに短いです。
  肉食性は、テナガエビ属ほど強くはないですが、ヌマエビよりは強いので
  多種との混泳は可能ですが、要注意です。
  基本は両側回遊ですが、地域によっては残留型も存在するようです。
 
ヌマエビ科
ヌマエビの仲間は、肉食性が低く、他種を襲うことは、まずありません。 死体や身動きできないほど弱っている死体同然の状態だと食べます。

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ヌマエビ − ヌマエビ科ヌマエビ亜科ヌマエビ属
  ヌマエビという名前のヌマエビです。 中流域で広く見かけます。
  延岡市では、ミゾレヌマエビと並んでよく見かけるヌマエビです。
  ミゾレヌマエビと混在しているのは見たことがありませんが、
  ミナミヌマエビと混在する箇所はあります。
  目視では、確認し辛いですが、目の後ろ辺りに眼上棘(がんじょうきょく)と呼ばれる突起が
  あるのが特徴です。 目の付き方が体に対して直角方向に付いているのも特徴の一つです。
  関東?以北にはヌカエビという近縁種がいるようです。 残留型らしいです。
 

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ヒメヌマエビ − ヌマエビ科ヒメヌマエビ亜科ヒメヌマエビ属
 
  満干の影響を受ける下流域で見られます。
  延岡の全ての川にいるのではと思います(たぶん)。
  現在確認できたヌマエビでは最小(2cmほど)ですが、色が青や赤、ビーシュリンプのよう
  な縞模様だったりします。
  見た目でいえば、在来種のヌマエビで一番観賞に向いたヌマエビかもしれません。
  これで淡水繁殖が可能なら・・・ という感じです。
  寿命はおそらく1年ほどではないかと思います。
 

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ヤマトヌマエビ − ヌマエビ科ヒメヌマエビ亜科ヒメヌマエビ属
  確認できたヌマエビの中で、採集が一番難しいのはこのヌマエビです。
  どの河川にもダムがある延岡では、上流・渓流での採集は無理です。
  中流でも見かけたことはありません。 採集経験はありますが、採集ポイントの確保まで
  至っていません。
  確認できたヌマエビでは、もっとも大きくなるヌマエビです。 寿命は長く、5年以上生きた
  という話も・・・
 

 − 
ミゾレヌマエビ − ヌマエビ科ヒメヌマエビ亜科ヒメヌマエビ属
  延岡市で一番採集が簡単だろうヌマエビです。 下流よりの中流から
  下流域で見られます。
  ミゾレ模様が綺麗な上に、成熟しきったメスでは、濃い青や赤になり背に白い筋模様が
  出ることがあります。
 

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ミナミヌマエビ − ヌマエビ科ヒメヌマエビ亜科カワリヌマエビ属
  中流域で見られます。 延岡ではミナミヌマエビも意外と見つけにくいヌマエビです。
  淡水繁殖できる唯一のヌマエビです。
  色の変異が多く、黒〜緑〜赤〜青と色々な色の個体がいるのも魅力です。
  成熟したメスは、ミゾレヌマエビ同様に背に白い筋模様が現れる個体もいます。
  卵の粒が大きいのも特徴です。
  寿命は1年ほどのようですが、どんどん増えていくので、寿命の短さは気になりません。
  お店で売っているミナミヌマエビは、ミナミヌマエビに近縁の外来種ですので、河川に
  逃がすようなことないようよろしくお願いします。